あけぼの歯科医院

セラミック矯正ってどうなの?⑤

こんにちは、渋谷区桜丘町の歯医者「あけぼの歯科医院」の陣之内です。

ブログの中断で内容が途切れてしまいましたが改めて続きを記載していきます。

前回までシリーズで「セラミック矯正」と謳われる治療法の問題点を挙げてきました。

まとめると「セラミック矯正」とは「矯正」ではなくセラミッククラウン又はブリッジによって歯の軸を揃えて見た目の改善を図る処置で、それをするがために神経を取ったり歯を抜いたり軸を変えて被せる事で折れやすくなったりといった弊害がある治療法である事。またそれに対する患者さんへの説明があるのか否か、長期的に安定が見込める状態になっていないケースが非常に多い等様々なリスクを孕んでいるやり方である事。

本来は「歯列矯正」の適応であっても治療が長期間に渡るのと矯正装置を付ける必要がある為、短期間で結果の出る方法を安易に選びたくなる患者さんが多いのも事実です。

 

こういった形でシリーズでお送りしてきましたが、そもそもセラミックを使った治療法そのものを否定している訳では決してありません。

私自身セラミックを使った治療をよく行うのでむしろ肯定的に捉えています。

 

ではどういうケースで適応なのか?

 

答えはシンプルで、「歯列矯正の適応となる歯列不正は補綴治療は適応外」と思っています。(補綴治療とは被せ物やブリッジをする治療のこと)

上記のセラミック矯正の問題点はこの「本来は歯列矯正の適応」なのにそれを捻じ曲げて無理にセラミックで治療をしているが為に起きている問題なので、逆に言うとちゃんと補綴治療(被せ物)の適応の範囲内であれば全く問題のない処置なのです。

 

例えば生まれつき歯に帯状の線が入ってしまう「テトラサイクリン歯」や、虫歯で神経を取らざるを得なかったケース、虫歯治療でつぎはぎを重ねてプラスチックだらけになってしまったケース、ほんの少しだけ歯並びを整えるだけのケース、等々意外にその適応は結構あります。

更に色やちょっとした見た目を是正するだけが目的の場合、審美治療のカテゴリーになりますが「ラミネートベニア」という付け爪のようなセラミックを貼り付ける手法もあります。

「クラウン」を付けるときは歯の全周を一層削る必要がありますが、「ラミネートベニア」は歯の表側の面を1mm以下だけ削って(場合によっては削らずに)そのスペースにセラミックを付ける手法なので歯のダメージも少なく済みます。

 

 

ご覧頂いたケースは歯の並びは一切変えず表面に「ラミネートベニア」を接着したのみになります。

このように歯列矯正が必要ない状態で見た目の改善を主な目的とする治療を「審美治療」と言います。審美治療においてセラミックは主役として重宝されますから、材料の日々の進歩も手伝って非常に良い選択しとなっています。

しかしそれを適応外の使い方をした時に、本来得られるメリットがデメリットに変わり得るという事なのです。