あけぼの歯科医院

噛み合わせって何で大事?④

こんにちは、渋谷区桜丘町の歯医者「あけぼの歯科医院」の陣之内です。

前回は噛み合わせにおける前歯と奥歯の役割についてお話しました。

ではそれらがうまく機能していない場合どのような不具合が起きやすいのかという事について書いていきます。

 

前述の通り、前歯と奥歯は噛み合わせの力からお互いを守りあう「相互互助関係」にあるわけですが、その関係が崩れる場合というのはどのような状態でしょうか?

簡単に言うと、

 

・前歯か奥歯が機能障害を起こすレベルで喪失した状態

・前歯か奥歯が噛み合っていない状態

・前歯も奥歯も噛み合っているが当たり方が悪い状態

 

このいずれかに分類されると思います。

これを実際の病態に置き換えると、

 

・反対咬合、受け口(下顎前突、上顎劣成長)

・上下の前歯が噛み合わない(開咬)

・前歯が当たらないぐらい著しい出っ歯(上顎前突、下顎劣成長)

・奥歯が全て入れ歯で経年的にすり減っている

・前歯(特に犬歯)がすり減って歯ぎしりで引っかからなくなっている

・奥歯のどこか一点が強く当たっている

 

等々、枚挙にいとまがありません。中にはご自身のお口の状態で心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これらが起きてるお口の中では何が起こりうるのでしょうか。

前述のように食いしばる力というのは時にkg単位の力がかかりますし、意識したり対処したりしなければ24時間365日休みなく歯に負担はかかります。

前歯や奥歯がいずれか機能しなくなるという事はこの負担を一身に引き受け、休みなく耐え続けるという事を意味しています。

よくお神輿に例えてご説明するのですが、何十kgもあるお神輿を10数人で担いでいるとしてその中の何人かが抜けると残りの担ぎ手には今まで以上の負担がかかります。人数が減るほど加速度的に負担が増え、1人抜けた時より3人抜けた時の方がより負担が上がる状態です。そのうち残った担ぎ手の中から脱落者が出て最後は支えきれなくなって崩壊します。

前歯だけor奥歯だけで負担するというのはまさにこの状態と同じで、残って負担しているor負担が集中している歯が次々と力によってトラブルを抱え、或いは抜けたり抜かなければならない状態になってしまうのです。

前歯が当たらず奥歯だけが当たっている→奥歯が順番にダメになる→奥歯がなくなってくる→前歯だけが当たるようになる→下の前歯の突き上げで上の前歯がダメになる→下の前歯だけが残る

このパターンがよく目にする例です。

もちろんこれは長年かけて進んで行く現象なのである日突然なるわけではないですが、だからこそ早い段階で歯科医師の介入を受けないとジワジワ崩壊へと辿っていくことになるのです。

(それには当然「咬合」を理解したドクターにみてもらうという事が大前提です。)

どれぐらいのスピードで進行していくのかについては患者さんご本人の咬む力や食べ物の嗜好、お口のメインテナンスの度合い等様々なファクターがあるので一概にこうというのはありません。

問題がある噛み合わせでもあまり咬む力がなかったり柔らかい物しか食べなければ死ぬまでトラブルなく過ごせるかもしれませんし、逆も然りです。

是非一度専門的な見地からのチェックを早い段階でしておく事をオススメします。