あけぼの歯科医院

噛み合わせと矯正③

こんにちは、渋谷区桜丘町の歯医者「あけぼの歯科医院」の陣之内です。

噛み合わせと矯正についてのシリーズのラストはマウスピース矯正についてです。

最近SNSや広告でよく目にするようになり、より低価格&短期間で身近に感じるようになってきたマウスピース矯正ですが、実はこれにも落とし穴があります。

そもそもマウスピース矯正にも様々な種類があり、一長一短それぞれあります。

しかし原理はどれも似通っていて、現在の歯並びの状態から理想とするゴールの形に向けて少しずつ歯の位置がずれた状態で作られたマウスピースを無理矢理嵌め込むように装着することで、数十枚交換を繰り返していくと最終的に設定したゴールに合うところまで歯が動くというものです。

今までの矯正はワイヤーやブラケットが見えて審美的に不利な部分がありましたが(現在ではそれを解消する方法はありますが)、透明で装着感も少なく、何よりワイヤーを付けなくても良いという心理的解放感は広く患者さんに支持されています。

こう記述すると万能そうに聞こえるかもしれませんが、従来型のワイヤーとブラケットの方法に比べてスピードや適応範囲に制限もあり、すべてのケースで使える訳ではありません。そしてもう1つのポイントとして矯正専門医でなくても施術する事が出来ます

患者さんにとってお手軽なマウスピース矯正ですが、治療を提供するこちら側にとってもお手軽な一面があります。最近では先述したゴールの設定をAIで算出してくれるソフトやある程度までメーカーのスタッフが叩き台のゴールを作ってくれるものもあります。本来はそれを矯正専門医が確認し、微調整し、初めて患者さんに提供出来る状態になります。

ところがこのお手軽さが一般歯科医の安易なマウスピース矯正参入を招いている一面もあるのです。

以前ご紹介したように、矯正治療というのは矯正の勉強をし、臨床経験を重ね、研鑽を行った歯科医によって、しっかりとした診査診断の元に治療が行われる非常に専門性の高い治療になります。

お手軽で身近になりつつあるマウスピース矯正ですが、充分に研鑽を重ねていない歯科医による適応範囲を越えた施術があるようです。

費用の安さや治療期間の短さだけで飛び付かず、自分の身体の一部に手を加えるわけですからしっかりと説明を受けて多角的視野のもと選ぶ事をおすすめします。