こんにちは、渋谷区桜丘町の歯医者「あけぼの歯科医院」の陣之内です。
前回からセラミック矯正ってどうなの?というシリーズで投稿しています。
記事の中で「セラミック矯正はおすすめしない」と書きましたが、具体的に少し解説をしていきたいと思います。
まず大前提として共有して頂きたいのが、
「削る必要がない歯は極力削らない方が良い」
「神経はなるべく取らない方が良い」
「歯の軸は本来の軸以外で力を与えない方が良い」
これは歯科医師であれば誰でも100%同意する普遍の事実です。
これらは不可逆的な(元に戻せないような)事であり、そこから先に進むにはそれなりの理由がないといけないからです。
この「それなりの理由」の線引きが歯科医師の診断に委ねられているのですが、歯科医師間での基準の差が大きいのが問題となっています。
例えば「削る必要ない歯の切削を避ける」ですが、これは一見当たり前のように思われるかもしれませんが「削る必要の有無」が担当する先生によって違い、また明確なガイドライン等は存在しないので極端な話通院する歯科医院によって削る場合と削らない場合が分かれるのです。
しかしこれはある意味仕方ないというか、患者さん個々の状況によって左右するものなのでガイドライン等で一元的に管理するのはほぼ不可能である事が原因となっています。
よくセラミック矯正を謳って処置を行うクリニックにおいては、「審美的(見た目の美しさ的)に必要だから削って被せる事で問題を解決する」という基準で行っているわけですから、それも歯科医師としてのひとつの診断になるので否定はしません。訪れる患者さんも希望されていて、それを解決してあげようとして行っている判断です。
問題があるとすると審美目的で歯を削った場合にどういったリスクがあるか説明してなかったり、そのリスクを回避する為にしっかりとアフターフォローしていなかったりする場合です。
リスクの説明に関しては本当に患者さんが理解できているのかという問題もありますが、少なくとも理解するまで施術は避けるべきだと思います。
というのも当院に来院されるセラミック矯正経験患者さんは「そんなリスクがあるとは知らなかった」と仰るパターンが非常に多いのです。
ちなみに歯を削る事によるリスクとしては以下が挙げられます。
・削る前には戻らない
・削る前に比べて虫歯になりやすくなる事がある
・削る時の熱や被せた後の刺激で神経が炎症を起こしてしまう可能性がある
・歯の強度が落ちる場合がある
・元の噛み合わせの高さと治した後の高さが変わる
これらは削る量や削る場所、深さ、神経の有無、残っている歯の量等によって変わってくるので一概には言えませんが、リスクとしてお伝えする事があります。
虫歯等でどうしても削らざるを得ない時は仕方ありませんが、本件のように審美目的で削るという判断をする際には尚更このリスクを患者さんご自身が理解していないといけません。
なぜなら、「本来削らなければ発生しないリスク」だからです。
歯の切削に限らずセラミック矯正と謳われる手法には様々なリスクがあります。
次回はセラミック矯正で神経を取るケースについてお話します。