こんにちは、渋谷区桜丘町の歯医者「あけぼの歯科医院」の陣之内です。
皆様年末年始はゆっくり過ごせましたでしょうか?
今回は3年ぶりとなる行動制限のないお休みという事で帰省や旅行などを久しぶりに満喫された方も多いのではないでしょうか。
年始の、という訳ではありませんが長いお休み明けの診療でよくあるのが「詰め物が外れてしまった」という急患対応です。
銀歯やプラスチック等の歯の詰め物がお食事中等に外れてしまって急遽歯医者さんに・・・という事ですが、粘着性の物を食べると外れてしまうケースはよくあります。
特に年始には皆さんお餅を食べる機会が多いので普段よりも急患でいらっしゃる方が多い傾向です。
人気お笑い芸人の錦鯉・長谷川さんのギャグに「キャラメルは銀歯泥棒」というものがあるようですが、言い得て妙だと思います。
しかし本当にキャラメルは銀歯泥棒なのでしょうか?
キャラメルやガム等の粘着性食物は、咀嚼の際に歯の詰め物を外す力がかかるのは確かです。しかしその力というの正味そこまで強くありません。
別の物で想像して貰えるとイメージがわくかもしれません。例えば接着剤でくっついているもをのトリモチ等で剥がそうと思っても困難ですよね。
ただしその接着剤が弱かったり劣化していたらどうでしょうか?
もしかしたらトリモチでも取れるかもしれないですよね。
お口の中でもそれは同じです。
銀歯やプラスチックは基本的には二度と取れないようなつもりで接着剤でつけているので、本来ならばそう簡単には外れません。
特に銀歯などの「インレー」と呼ばれる型取りをして作る詰め物はその形に決まりがあって外れる力に対して抗う形に整えているので、ルールを守って正しく作られたインレーは接着剤なしでもある程度外れないぐらいはまり込みます。
この際のドリルでの削り方(形の整え方)、型取りの精度、作ってくれる技工士さんの作り方、使用する接着剤、等が「外れやすいか否か」を決めるファクターになってくるのです。
銀歯等の保険適応範囲の詰め物に関しては、接着剤もグラスアイオノマーセメントやレジン添加型グラスアイオノマーセメント等が使われる事が多いのでそれも外れやすい一因になっています。
これらの昔から使われているセメントは感水性という性質があり、水に触れると物性が落ちる事があります。
長年口腔内という過酷な環境にさらされ続けた結果セメントが少しずつ崩壊し、ほぼ機能していない状態になってしまう事があります。
そこで粘着性食品を食べるとトリモチ効果で外れてしまうという事です。
つまりその時点で「ほぼ外れかかっていた」状態である事が殆どなのです。
よく患者さんから「銀歯になったからガムとかキャラメルはもう食べない方が良いのか」と聞かれますが、逆にその程度の力で外れる時はもう自ずと外れる頃合いの状態なので外れないのを危惧するのはナンセンスですとお伝えしています。
もしキャラメルに銀歯泥棒されてしまった時はほとんどの場合治療が必要な状態ですから早めに受診して下さいね。