こんにちは、渋谷区桜丘町の歯医者「あけぼの歯科医院」の陣之内です。
前回まで親知らずの概要や放置した場合のリスクについてお話してきました。
今回は「親知らずの治療法」についてです。
治療法となるとざっくり言うと「親知らずを抜く」という事になりがちですが、
とは言え「できるだけ歯を抜かない」というのは親知らずについても例外ではありません。しかし、他の歯に比べると様々な理由により抜歯しなければならないケースが多いです。
親知らずを抜歯する場合
1.親知らずが正常に生えていないとき
2.ひどい虫歯になっているとき
神経(歯髄)も死んでいる可能性が高く、放置すれば歯の根の先に細菌が巣をつくり、全身に感染がひろがることもあります。
3.歯周病になっているとき
● 歯がぐらぐら動く
● 歯石
● 歯ぐきが腫れている
放っておくと健康な歯まで悪化してしまう可能性があります。それを防ぐために抜歯します。
4.あまりにも口の奥に生えているとき
虫歯や歯周病が進んでいない場合でも、歯みがきが難しい場合には今後悪化するのを防ぐために抜歯します。
5.半分歯ぐきの中に埋まっていて、しばしば周囲に痛みが出るとき
親知らず抜歯後の注意点
● 頻繁にうがいをしない。
● 歯を抜いた所を舌などで触ったりしない。
● アルコールの摂取、運動を避ける。入浴は軽いシャワー程度にする。
● 麻酔が切れるまでは食事をしない。
● 腫れても氷水や湿布などで冷やさない。
● 化膿止め(抗菌薬)は医師の指示を守り、途中で止めずに服用する。
<親知らずがまた生えてくる事はない>
怖い思いをして抜いた親知らずですが、せっかく抜いたのにまた生えてきたら嫌ですよね。
ご安心下さい。永久歯は一生に一度しか生えないため、永久歯である親知らずも抜いてしまうと、その後にまた生えてきたりはしません。
ごく稀に過剰歯という親知らず以外にもう一本歯がある場合があり、親知らずの抜歯後に出てくることがありますが、それは非常に珍しいケースですので気にする必要はないでしょう。
<抜歯するのは早い方がいい?>
虫歯や歯周病になる前に抜歯した方がいいというのはもちろんですが、若い時に抜いた方が抜歯後の回復が早かったり骨が柔らかくて抜けやすかったりという利点もあります。
親知らずの抜歯後は、歯があった部分に骨や歯ぐきが盛り上がり傷口を塞いでいくのですが、やはり若い時の方が回復が早く、痛みが長引くことも少ないです。
また、特に女性は妊娠時に抗生物質を服用する事が難しくなってしまったり、骨粗しょう症の治療のために服用した薬の影響で抜歯が難しくなってしまったりという問題も起こり得ます。
骨粗しょう症治療薬による副作用については、『歯を支えているのは骨!骨粗しょう症を予防しよう』という記事も併せて読んでいただければと思います。
<無理に抜かなくてもいい場合もある>
親知らずだからといって全て早目に抜かなければいけないというわけではありません。
真っ直ぐに生えていて上下の親知らずがしっかりと噛んでおり、ブラッシングでしっかりと清潔に保てている場合には無理に抜歯する必要はありません。
将来奥の歯を失ってしまった場合、親知らずをブリッジや義歯の支えに使う事ができる可能性もあります。
ただし、抜歯しなくても問題が無いかの判断を自分でするのはなかなか難しいので、一度歯医者さんに状態を確認してもらうのがいいでしょう。
親知らずは正常に生えていない場合が多く、そのまま放置していると様々なお口のトラブルの原因となってしまいます。
また、抜歯はなるべく若い時に済ませておいた方が良いため、まずは歯医者さんで状態を診てもらう事をお勧めします。
ものすごく腫れてしまったり痛みがあるイメージの抜歯ですが、生え方によってはとても簡単に抜歯が済んでしまう場合も多いです。
当院では治療時の麻酔についても痛みに配慮した方法を取っておりますので、あまり怖がらずに是非ご相談にいらっしゃって下さい。