こんにちは、渋谷区桜丘町の歯医者「あけぼの歯科医院」の陣之内です。
前回に引き続きタバコによる歯周病と全身疾患の関係についてお話します。
歯周病菌は腫れた歯肉から血管内にも入り込み、全身にも回っていくことから、最近は心臓病や脳梗塞などの全身疾患にも影響を与えていると言われています。
タバコは歯周病発症・進行の最大危険要因
歯周病の発症要因は大きく分類すると①細菌因子、②環境因子、③生体因子の3つの要因があります。
細菌因子・・・細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)
環境因子・・・タバコ、ストレス、飲食、食生活、過労など
生体因子・・・年齢、糖尿病、遺伝など
この中で、タバコは糖尿病と並んで、歯周病の最大危険因子の一つとされており、喫煙者はタバコを吸わない人と比べて、重度の歯周病になってしまう確率がなんと5~7倍も高いと言われています。
タバコが歯周病に与える影響は以下の3つに分けられます。
1.免疫力の低下を招く
冒頭でご説明した通り、タバコを吸う事によって免疫力が低下するため、細菌が原因となる歯周病にかかり易くなってしまいます。
2.自覚症状が出にくくなる
歯周病は虫歯などと違い、多くの場合痛みもなくゆっくりと進行していくため、発症や進行に気づきにくいという特徴があります。
タバコは、それに含まれるニコチンの毛細血管収縮作用により、本来の炎症症状が隠れてしまうのため、さらに自覚症状が出にくくなります。そのため、気づいた時には既に歯周病が重症化してしまっているということが多くなります。
3.治癒能力が落ちる
タバコを吸われる方の歯ぐきは、ニコチンの影響でゴツゴツと硬くなってしまいます。
このようになると、歯周病の治療が難しくなり、歯ぐきの治癒能力が落ちているため、タバコを吸わない方と同じ治療を受けたとしても、その効果が出にくくなります。
このように多くの生活習慣病との関わりが深いとされているタバコですが、お口の健康にとっても非常に悪い影響を与えます。
特に歯周病は自覚症状がほとんど無く進行する事も多く、少し歯がグラグラしてきたと思った時には既に手遅れで、歯を抜かなければならないという場合もあります。
また、歯周病は1本の歯だけではなくお口全体で進行するため、全ての歯が手遅れになってしまうという事態もありえます。
日本では成人の約80%が発症していると言われており、たかが歯周病と思われてしまうかもしれませんが、全身性疾患との関連も指摘される怖い病気です。
心身ともに健康な状態を長く維持するためにも、歯はとっても大切です。歳を重ねても「自分の歯で美味しく食事を楽しめる幸せ」を噛みしめるためにも、今から予防していくという事を意識してみてはいかがでしょうか。
なかなかタバコを止めたくない、止められないという方も、これを機会にタバコは歯にも非常に悪いという事を知っていただければと思います。