こんにちは、渋谷区桜丘町の歯医者「あけぼの歯科医院」の陣之内です。
噛み合わせによる力の分散の大切さとそれが失われた場合の不具合についてお話しましたが、ではどういった場合にそのような状態に陥るのでしょうか。
想像して頂くと恐らくパッと浮かんでくる回答で多いのは、「歯磨きをサボって虫歯になって歯が溶けて・・・」といった辺りが一番多いのではないでしょうか。
もちろんそれは間違いではないのですが、そこまで何年もかけて崩壊していく方というのはある程度諦めがついていてこれ以上はまずいからという事で治療に臨まれる場合が多く、多くの方にとっては自分とは関係のない重篤なケースの話というイメージがあるかもしれません。
しかし実はもっと身近な時点で咬合崩壊の入り口に立ってしまっているケースもあります。
例えば虫歯の治療で銀歯を入れてもらい、最初その歯ばかり強く当たっていたのに日に日になじんでその後は特に感じる事はなくなったというご経験はないでしょうか。
それはなじんでいるのではなく顎の位置がずれて咬んでいる場合があります。
仮に適正な高さより高い状態で銀歯が入った場合、まず脳が異変を察知します。歯の根っこの周りには歯根膜という靭帯がありその中に高さを感じるセンサーがある為です。
そのセンサーからのフィードバックを受けた脳がその部位を高いと判断し、歯ぎしりですり潰したり違う位置で咬んでみたりする事で事態の収拾を図ろうとするのです。
少しずれた位置で咬んでみて前の感覚に近いようであれば脳はそれにて解決と判断し、そこを噛み合わせの基本位置として上書きします。
数値にするとミリ単位より小さなミクロン単位である事がほとんどなので患者さんご本人はそこまで違和感を感じません。
これらの一連の流れが銀歯を入れてから数日以内に起こる事が多いので、いわゆる「なじんだ」と感じてしまうのです。
読んでいて分かると思いますが当然これはなじんだのではなく「顎がずれる」という犠牲のもとに「適正な高さより高い」という事態が収拾されたに過ぎないわけです。
一本の銀歯によってお口の中全体のバランスが崩れてしまう可能性は十分にあるという事になります。これはある意味医原病と言えるでしょう。
もちろんすべてのケースでそうなっているわけではないですが、保険治療では特に時間が十分に取れないクリニックがほとんどですから必然的に「少ししたらなじみますよ」でおしまいになっているケースが多いのだと思われます。
当院では噛み合わせの調整は詰め物被せ物をセットする当日だけでなく後日もう一度いらして頂いて再度確認します。
ご足労かとは思いますが上記のような顎位の変化を起こさない為です。
銀歯が何本も入っていて噛み合わせがしっくりきていない方はもしかしたらこうした原因によるものかもしれません。
噛み合わせでお悩みの方は是非一度当院にご相談下さい。